何か唐突に語りたくなったので。
適当に書き綴って構成もへったくれもないですがご容赦を。


もう9年前になりますか。私がFLASHを作り始めたのは。
2002年のことです。
某スレのAAに感動し、「この話をもっと広めたい」という衝動に駆られ、
当時流行りつつあったFLASHなら広まるんじゃね?と
今は亡き「ネットランナー」に付いていたFLASH5の体験版をインストールし、使い方を覚え、
約2週間掛けて『トマソン選手と少年のおもいで』を作りました。
初日に2万アクセス、一週間で10万アクセスを叩き出す大反響でした。
トマソン選手と少年の思い出
(その後、○ASRACからの警告によりHPからは削除しましたが、ミラーは残ってます)


まぁ、その後にこの話は作り話だと分かるのですけども...
ただ、デンマーク代表がホスピタリティ溢れる集団だったことは確かのようです。


反響に気を良くして次に作ったのが、当時ハングル板で伝説となりつつあったスレのFLASH化でした。
アイアムザパニーズ
初動こそ『トマソン』には劣りましたが、最終的にアクセス数が上回るくらいの反響がありました。
「自分が感動したり、面白いと思ったことを、FLASHを使えばより多くの人に広めることができる」
私はFLASHの虜になりました。


その後、日本とトルコというFLASHが一部で人気となっていて、
私もこれに感化されて「こういう歴史物のFLASH作ってみたいなー」と考えていました。
(このFLASH、今見ると日露戦争あんま関係なくね?と思わなくもないですがw)


そんな中、あるメールマガジンの記事と出会いました。
Japan On the Globe(142) 国際派日本人養成講座 地球史探訪: 大和心とポーランド魂
2000年に書かれたこの記事、読んでもらったら分かりますが、本当に感動的な話でして。気づいたら泣いてました。


私とポーランドとの直接的な関わりはありませんが、恩師のうちの一人がポーランドの専門家でして、
その人の恩返しにもなるかなーというのもありました。
また、Zabadak の"Poland"という曲がものすごく好きで。今でもZabadakの中でも一番好きな曲です。

まぁオリジナルよりも"Decade"に収録された、もしくは"noren wake"のアレンジバージョンの方が好きではありますが。


広めたい感動的な話、それにまつわるこれまた広めたい神曲、ついでに恩師への恩返しにもなるかも?ということで
すぐにメールマガジンの編集長、伊勢雅臣さん宛にメールしてFlashへの引用許可をいただき、
意気揚々と制作にとりかかりました。
※当時はネットでの音楽の二次使用はグレーゾーンでした。


ところが... 実際作ってみると、最初は全く感動できるものになりませんでした。
この辺りは実際に作ったFlash見てもらえれば分かると思います。
一番最初に作ったときは、
「765名の孤児をシベリアから救出した日本の恩をポーランド人は今も忘れない」
以降の部分はほぼ割愛してました。
逆に、原文にあるレジスタンスや阪神大震災の部分を入れて。
FLASH 大和心とポーランド魂(シベ超ver)
「いい話だなー」「そんな事あったのか」とは思えるんですけど、泣けるような話にはなってなかったですよね。


滅茶苦茶焦りました。
素材はいいはずなのに、まったくそれが活かされていない。
何が原因なのか。丸一日悩みました。


悩んだ結果、ひとつの結論が出ました。
「きっと話にメリハリが無いからに違いない。ここは一つギャグを入れよう!」
... バカですねw


そんでもって「シベリア」という単語に反応して、「シベリア超特急」の画像を入れたんですが...

個人的には滅茶苦茶面白かったですし、面白いって言ってくれる人も1人か2人いましたけど、
まー評判が悪かったw
そりゃそうです。雰囲気ブチ壊しですから。
他にも、曲に合わせて( ゚д゚)ハッ!と叫ばせたりと。

こちらは比較的好評だったような気はします。やっぱり雰囲気はブチ壊してますがw


でまぁ、そういう評判を聞く前ですから、ネタを入れてメリハリは付いたとは思ってたんですが、
それでも泣けるようにはなってないと。ここでまた丸一日考えました。


一日考えても分からなかったので、もう一度原文を読んでみようと思いたち、ようやくどこに問題があるのか気づきました。

 平成11年8月に、ポーランドから「ジェチ・プオツク少年 少女舞踊合唱団」が来日した。
合唱団はヘンリク・サドスキさん(88)からの次のようなメッセージを携えてきた。


 20世紀の初め、孤児が日本政府によって救われました。
シベリアにいたポーランドの子供は、さまざまな劣悪な条件にありました。
その恐ろしいところから日本に連れて行き、その後、祖国に送り届けてくれました。
親切にしてくれたことを忘れません。……
(合唱団は)私たちの感謝に満ちた思いを運んでくれるでしょう。
日本のみなさん、ありがとう。
Japan On the Globe(142) 国際派日本人養成講座 地球史探訪: 大和心とポーランド魂

日本のみなさん、ありがとう。
これだと。
感謝の言葉を聞いて感動するのだと。
そして、

 しかし、大使から公邸にお招きいただいたと聞いたとき、這ってでも、伺いたいと思いました。
何故って、ここは小さな日本の領土だって聞きましたもの。

この言葉が一番の肝なのだと。


これに気づいて、構成をがらりと変えました。
まず直接救出劇に関係しない、レジスタンスと震災の部分はカット。
前半部分で救出劇のあらましを描き、感謝の言葉はなるべく入れ、自分がより感動した話を後ろに持ってくる。


ひととおり作業を終え、再生してみました。泣けました。
感動して泣いた時には、良い感じで作品が出来たという達成感はほとんど感じず、
「やはりこの話はなるべく多くの人に触れられるべきだ」という義務感みたいなものが大半でした。
今は別アカウントで主に漫画の事を批評するブログを書いてますが、基本的にこういう考えは変わってないと思いますね。
「この漫画は面白いから、なるべく多くの人に触れられるべきだ」という感じに。
まぁ他にも「この作者は伸びるから、どうやったら伸びるかを考えよう」ってのもありますけれども。


で、このFLASH、かなりの反響がありました。たぶん。
メール等で私の耳に届いたとかいう事は無かったですが、イイアクセスさんやかーずSPさん等のニュースサイトでは
比較的上の方で扱ってもらった記憶があります。


一番影響が大きかったのは『世界ふしぎ発見』で丸々一時間、この話が取り上げられた事ですね。
(2002年11月)
私のFLASHがきっかけかどうかは分かりませんけども。
その放送を見て、これは素材に使えそうだなと思うようなシーンがいくつかあったので、
放送後に世界史板のflashスレッドの方々に協力してもらい、いくつか画像をキャプチャーしてもらいました。
(ここらへんは今も当時も著作権的にアウト)
放送中にあったインタビューを少し加えつつ、シベ超」のシーンを抜き
曲もアレンジverの存在を知ったのでそれに変えて、New Versionを作りました。
大和心とポーランド魂 New Ver


こちらも概ね好評でしたが、今からみるともうちょっと何とかできたかなーという所もあります。


直後に指摘されて即座に直した部分もありました。

この部分。
最初は欧米諸国の国旗を表示した後、×を付けていくという演出をしてたんですが、
これがあまりよろしくない表現ではないかという指摘を受け、削除しました。
文章に起こしたものをなるべく絵で表現しようと考えていたんですが、どぎつくなるんですよね。


指摘されつつ結局直さず、今になって直しておけばよかったなと思うところもあります。
シベ超verの時は素材が無かったのでAAで誤魔化すという感じでやってたのですが、
New Verでは「AAが邪魔」という指摘を受けました。
当時はその批判をはねのけたんですが、今見ると、素材を使えるようになって写真とAAがが喧嘩しちゃってるんですよね。
雰囲気がマッチしない。
当時FLASH使ったAAが全盛で、それに慣れてる人もいたからこういう意見は割と少数だったのかもしれません。
回線速度が今ほど早くなく、HPの容量も今ほど多くはない当時は、それこそkb単位で容量削る時代でしたから。
(1MB以下にするのが概ねセオリーでした)
写真使うとどうしても重くなっちゃうんですよね。


NewVerを作った後にも、2003年に関西テレビ放送開局45周年記念ドラマとしてこの話がメインとなる
『ワルシャワの秋』が放送されました。
まぁドラマの内容は残念なものでしたが...w
何にせよ、当初の目標である「この話をもっと広めたい」という願いは達成されたのでは、と思います。
誰かニコニコかyoutubeに移植してくれないかなぁ...
※追記:移植されてますね。


何でいきなり大晦日にこんな昔話を書きだしたかというと、
少し前から『シナリオの基礎技術』という本を読んで、色々思い当たるフシがあったのが一つ。

シナリオの基礎技術

シナリオの基礎技術

もう一つは、この動画を見て当時を思い出したからですね。

FLASH見たと書いてくれてる人もいますし、こういうのを見ると感無量ですね。
という、オッサンの思い出話でした。