独墨日、それぞれの育成事情 第6回フットボールカンファレンスリポート

もちろん、今回の登壇者も豪華だ。UEFA(欧州サッカー連盟)技術委員長のアンディー・ロクスブルグ氏、ドイツサッカー協会(DFB)指導者育成チーフのベルント・シュトゥーバー氏、プーマス(メキシコ)U−10〜12スーパーバイザーのマウリシオ・ペドロッサ氏、そしてフランスサッカー協会テクニカルダイレクターのジェラール・ウリエ氏といった、そうそうたる面々。

こういう目の付け所はいいなぁ。協会も考えているというのはよく分かる。

何事も「やる」と決めたら徹底的にやるのがドイツ人の国民性。それは、現在の育成システムの数字を見れば明らかである。U−12から15までのプレーヤー1万4000人に対応すべく、国内に366カ所の拠点を作り、フルタイムの指導者29名、兼任のコーチ992名が、このプロジェクトに従事しているという。この年代から選抜された800人のタレントは、今度は全国42カ所のユース育成センターでトレーニングを受け、ここでも140人の専任コーチのほかに、学業、フィットネス、医療などをサポートするスタッフも充実している。もちろん、こうした育成については、これまでクラブによって担われてきたわけだが、DFBでは、地域協会、クラブと連携を取りながら、指導者間のコミュニケーションを密にすることで、より多面的で個々に応じた育成を可能にした。こうした関係者の努力により、あの惨敗からわずか7年で、ドイツは欧州におけるユース大国の仲間入りを果たしたのである。

徹底的すぎやしないかw にしてもすげーなこれ。
そのまま日本に導入するというのは到底無理な話だが、Jリーグ経験者が監督・コーチとしてようやく実績を積み始めている今のうちに
このくらいのシステムを作るという目標が見えたのは良い事かも。
何にせよ、監督・コーチ・スタッフ・審判といった直接強化に繋がらないところの人材を育てる努力はすべきですね。
100年構想と言うと、どうしてもチーム数やスタジアムといったハード面に目が行きがちだけれども。


鬱ニムの良いところは、協会マンセーにならず、必ず苦言を呈するところ。

3日間のカンファレンスを取材していて、非常に気になったことがある。それは「失敗の視点」というものが見事に欠落していたことだ。すなわち、昨年の北京五輪でのグループリーグ3戦全敗と、U−20代表のW杯連続出場(ワールドユース時代含む)が8大会ぶりに途切れた事実が、まったく触れられていなかったのである。それは登壇者から言及されることもなかったし、会場で流された映像の中にもなかった。女子代表の北京五輪ベスト4や、2大会連続でW杯出場を決めたU−17代表の映像が、ことあるごとに流されていたことを考えると、これはいかにも不自然である。

 そもそも、前述のパネルディスカッションでは、なぜ前U−20代表監督の吉田氏でなく、去年のAFCユース選手権(サウジアラビア)でチームを指揮していた牧内辰也氏を登壇させなかったのだろう。敗軍の将が語っては、何かまずいことでもあるのだろうか。そうではあるまい。むしろ「失敗の視点」から学ぶべきことは、たくさんあるはずだ。それなのに今回のカンファレンスでは、去年の北京やサウジでの失敗が、まるで「なかったこと」であるかのように扱われていたのである。

 今回のカンファレンスは、非常に充実した内容だっただけに、こうした不自然さは最後まで気になって仕方がなかった。ドイツは、ユーロ2000での惨敗に真正面から向き合い、そして大胆な育成システムの改革に着手したからこそ、現在の成功がある。日本が学ぶべきは、表面的な育成メソッドでなく、むしろネガティブな現実から目をそらさず、真摯(しんし)に受け止める姿勢ではないだろうか。

まぁ男子五輪に関しては内容的には失敗してなかったという認識だが。
GL突破してなかったから結果的にはもちろん失敗だが相手がなー。
日本の体質だと特に内部批判というのは難しいかもしれないが、本気で強化する気があるのなら失敗から目を背けてはならない。
フィードバック抜きの強化なんてあり得なさ。