とりあえず三冊処理。後何冊あるか考えるだけでも萎える。


崩壊したごみリサイクル―御殿場RDF処理の実態

崩壊したごみリサイクル―御殿場RDF処理の実態

御殿場・小山RDFセンターに関する本。
比較的自治体側の立場で書かれているので、
導入に積極的だったが完成前に突如勇退した職員と、ゼネコンに対しての批判が主。


当初は老朽化した焼却炉を新築し直す予定だったのだが、一役員がRDF施設を進言したのが事の発端。
ダイオキシン問題が追い風になり、施設が完成したはいいものの、
一般の焼却炉の20倍のコストが掛かる(それだけ石油を使う)、とてもリサイクルとは言えない施設になったという顛末が涙を誘う?
しかも「RDF施設にするとダイオキシンが出ない」というのがウリだったが、
施設からはダイオキシンが出ないものの、悪臭がひどくて処理に石油を使ったり、
出来たRDFを燃料として使う際にダイオキシンが出るという、全く問題解決になってないじゃないのな話や、
この本が出版されて以降の話からなのか、この本では触れられてないが、結局ダイオキシン規制によってRDFを誰も使わないという結果には呆れるしかない。
さらに触れられてない話として、普通の焼却炉もダイオキシンを出しにくい技術が進歩した*1
とあっては何の為に作ったのかと。


ただ、コスト増大により市の財政が逼迫した逆境にあって、
公共工事の予定入札価格を事前公表して経費削減をしたとか、
ごみを市職員総出で手選別し、異物混入がないか、ルール違反がないか、どんなゴミが持ち込まれてるかの実態調査がなされた
という記述は興味深い。


自治体の公共事業における検証能力の無さと、リサイクル施設の難しさは非常に考えさせられるものがある。


パール博士「平和の宣言」

パール博士「平和の宣言」

某小林のひとが復刊に当たって文章を寄稿してて面食らったんですが、
どうもあの漫画関連で色々あって、小林氏の尽力によって復刊したようで。
なんか新刊も出てるらしく、またぞろ検索ワードに引っかかりそうでちょっと気が引けるのね。


パール氏は中々興味深い存在だ。
戦争論』に描かれていたような、欧米の圧力により日本が第二次世界大戦に突入せざるを得なかったという歴史観
一部保守系の方々と親和性がある。
逆に、非武装の平和主義は九条な方々と親和性がある。
日本では現在正反対*2イデオロギーに属する二つの考え方が同居するこの人の思考とは何ぞや?という点で。
ただ、よくよく考えてみれば保守系の方々にも、かつては、もしくは今でも非武装中立な方々がいない訳ではないなぁ。


二つの考え方の根幹として、インドの植民地支配という実体験があったというのは確かだが、
前者については、この本からはあまり読み取れなかった。こっちは判決文を読む必要があるのだろうか。
後者についてはガンジー主義の延長上にある個人的な理想だという事が分かった。
ガンジーとネール首相に対するピュアな入れ込みっぷりは「この人大丈夫か?」と思わずにいられないくらい引いたが、
当時の情勢を考えればこのくらい理想主義を掲げないとやってられんかったんだろう。


どうもあの漫画の争点は、この本が日本の戦争における道義的責任を追及してた云々らしいのだが、
そういった記述が全く見当たらなかったのは私の国語力のなさによるものだろうか?
確かに国語力のなさには自信があるが。
武装平和主義の親和性から、九条な方々がついつい思い込んでしまったんだろうか。
そういった思い込みで読むと、そう解釈できるほど非武装平和主義に対するピュアっぷりが展開されているのは確かだが。


老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

楽韓Webでプッシュされていたので読んでみたが、この発想はなかったわ。

「人口ボーナス」とは、出生率の低下にともなう生産年齢人口(十五〜六十四歳)の人口比率の上昇が、
労働投入量の増加と国内貯蓄率の上昇をもたらし、経済成長を促進するという考え方である。

大型書店でないと中々置いてないかもしれないが、初めの10ページ読めばあらすじが分かると言う
まことに親切、かつ出オチ感たっぷりで読みごたえがない構成になっているw ので、
とりあえず立ち読みしてみるといいじゃないかな。


玉に傷なのは、高齢化社会の対応について解決策が何も提示されていないこと。
日本が高齢化問題に直面してるから、後に高齢化社会を迎える国々は参考になるね!としか書いてないw
まぁこの本の限界をわきまえていてるとも言えるのだが。


蛇足として、少子化の原因として家族形態の変化(核家族化、離婚率上昇等の単身率上昇)、
養育費の増大、ライフスタイルの変化に加え、結婚に対する認識の変化を挙げている。
女性の高学歴化と就職率の増加に伴う晩婚化が原因と書いてあるが、
これはかねてから個人的に考えていた、女性の社会進出が少子化の原因だと解釈する。


...女は結婚して専業主婦になれ、と言ってる訳ではありませんよええ。


女性の社会進出が原因ではあるが、女性に責任がある訳ではない
不可逆性を伴う事象であり、これを少子化の原因としてきっちり捉えておかないとろくな対策が出来ないんじゃね?
と言いたいだけですね。
子供を育てながら働ける環境をというのも一つの手だけれど、
専業主婦として生きられるようダンナの稼ぎを確実にする事も少子化対策になるんじゃね?という事です。

*1:これに関しては保留。ガス化溶融炉の事かなぁ

*2:未だに真逆という表現には違和感を感じる