人口学への招待 河野稠果

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)

少子・高齢化対策は現在の日本において喫緊の課題ですが、それを語るにはまず統計学的な知識が必要だと思うんですね。
ということで人口学。
数式は出てこないものの、「合計特殊出生率」などの専門用語に関しては妥協してないのでそこそこハード。
解説は丁寧なので、割と新書っぽくまとまってはいるのですが。


内容に関しては概ね異論なし。
「人口減少なんてへっちゃらさ」的な論調に痛烈な批判を浴びせてる辺りはいい。
少子化の原因についてかなり慎重で、政策論や出生率との因果関係についてははっきり書かれているが、
統計学的に証明が難しい女性の社会進出等についてはぼやかし気味なのが少々残念。
確実性を重視しているのでやむえないか。
ただ、ヨーロッパについては各国の地域性について触れているのに、日本国内の地域性に関してはノータッチなのが不満。
国別データしか参照してないのが原因か。
厚生労働省都道府県単位でデータを出しているし、江戸時代辺りまで遡っても大まかとはいえ地域性を見出せるはずなのに。
個人的には晩婚化の理由として「流動性の高まり」があると思っているし、実際江戸時代でも江戸、京都、大坂では晩婚(24〜27歳)というデータもどっかにあったので、少なくとも都市化が晩婚化に影響を与えてると思うんだが。