サブカル・ニッポンの新自由主義 鈴木謙介

経済や雇用の分野では、新自由主義によって生じた改革の結果、不利な立場に立たされた人々が「もっと改革を進めろ」と主張し、政治の分野では、改革の結果高まるナショナリズムを批判していた人々が、ナショナリズムに基づく希望格差を訴える。二つの領域で生じていることは、一見すると無関係な現象に見えるかもしれない。だが私見に従えば、これらの主張は、実は同じ出来事の裏と表にすぎない。
p38-39

中々面白い。
なるべく中立的な立場を取ろうという態度が伺え、問題の解決策を提示する際にでもこれが発揮されるため、答えを欲しがる人にとっては物足りない内容になるかもしれない。
個人的には好印象だが。
カーニヴァル化する社会』や『バックラッシュ』と被る点が結構あり、師匠の宮台氏と比較的視点が似てるというのはあるが、
逆に言えばコレ1冊でその辺りを大体カバーできるといえるかもしれない。
新自由主義批判というよりは解説といった感じで、左右でねじれを起こしている(衆参のねじれという意味ではなく)現状を理解するには良い本だと思う。
個人的な見解だと、小泉改革的なものの反動が起きつつあるが、どこを戻せばいいのか、どこを止めてはいけないか、あるいは他の道があるのか。
それを探るうえで手がかりになるかと。