地球の呼吸はいつ止まるのか?―エネルギー・環境連立方程式 銃姫 緑の革命とその暴力

地球の呼吸はいつ止まるのか?―エネルギー・環境連立方程式

地球の呼吸はいつ止まるのか?―エネルギー・環境連立方程式

著者のひとり、David Howellは英保守党上院議員で、サッチャー政権時代にエネルギー相の経歴。
副題が「エネルギー・環境連立方程式」とあるが数式は一切なし。まぁ例えだと分かるが、
訳書にありがち(特にSF)な、タイトルと中身が微妙に合ってないのは何とかならんもんか。
特に目新しい視点はないが、エネルギー問題を包括的に取り扱っている。
強いて挙げれば、ロシアのガスはいかに欧州に影響力を持ってるかが分かったくれーかなぁ。


銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)

銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)

たまにはラノベでも、と軽い気持ちで読んでみたが意外と面白い。
今のところ9巻まで出ていて、8巻まで読んだ。
魔法を弾に込めて打つというのは「おざなりダンジョン」で出てきたのしか知らないが、
きっとありきたりな設定なのだろう。


1〜4巻は個人的にはちょいと微妙。
何かいい人と知り合いになる→裏切られるのパターンをひたすら踏襲。
3巻で青い鳥のあまりにもストレートな焼き直しが出てきた時にはちょっとこれは...と諦めかけ、
4巻で誰がどうみてもコイツ悪者だろ?という人間をピュアに信じこんでしまう主人公の描写に
あーもういいやこの巻で見切ろうと思ったが、


裏切り方が最高だったわ。
歩けない少女の為に魔法を使って歩行器を作ろうという研究をしていたのだが、
それを兵器に転用し、捕虜にくくり付けて敵陣内へ特攻させるという鬼畜っぷり。
おーこりゃすげーと思った半面、こりゃアニメ化無理だなぁとw


5巻が短編集で、この辺りから毛色が若干変わってくる。
それまでのお決まりのパターンが消え、キャラクターの方向性が見えてきて実に好みな作品に。
女性の立場と男性の立場の違いから来るいざこざの描写とかは正にわが意を得たり。
もの凄く優秀な人達が出てくるが全知全能ではなく、
その人たちからは見えないところは見えてないように表現されてる辺りも非常に好感持てる。
いかに因縁めいたストーリーにするかを重視しているためか、やたらと登場人物が他の人間と
何らかの係わり合いを持っているのは少しやりすぎ感があるが、これは小説なんだし、
そこまで目くじらたてるのもアレかなぁ。


緑の革命とその暴力

緑の革命とその暴力

インド・パンジャブ州における「緑の革命」がもたらした経過を詳らかにした本。
現在の農業を考えるにあたって緑の革命の考察は避けられないよなぁと思ってたらあっさり見つかった。
図書館って本当に偉大にだ。
緑の革命は生産の拡大をもたらしたが、化学肥料、農薬、水需要の増大も呼び起こし、
持続的な農業が出来なくなっていると批判している。
現在も農業はこの革命の延長上にある*1訳で、
そういう意味を含めて非常に参考になる。


緑の革命の最大の問題点は、インプットとアウトプットのみを変数にし、
その中で生産性を最大限ひき上げるように工夫した点。
環境問題や持続性、社会変革に関するコストなどを計算できないものとして外部化したことが
パンジャブ地方での宗教対立を喚起したと述べられている。


話は逸れるが、CO2問題もCO2排出が経済活動において外部化されているから
今のような状況になる訳で、CO2排出を内部化する炭素税には価値があるのかな、と思わなくもない。
どういうシステムにするかという話になってくると途端にお金の匂いがするのがアレだが。
また、この本ではほとんど取り上げられていない、カーギル社について少し調べる必要があると感じた。

*1:遺伝子組み換え作物に代表されるバイオ革命