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「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで
- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1998/07/01
- メディア: 単行本
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こういった分厚い本を読むのには時間がかかるんですね。
立ちながら読めないし。
結局3ヶ月近くかかってしまった。
個人的には久々の大ヒット。
1) いわゆるリベラルな人が書いたマトモな本が読みたい
2) 植民地時代の朝鮮に関する本が読みたい
3) 沖縄に関する本が読みたい
この3点を同時に満たしてくれた、という意味で。
1)に関して、確かに分析に関する記述から外れるとリベラルな視点からの記述もあったりするのだが
少なくとも史料分析の際には学者として客観的な立場から見ようという姿勢が感じられ、好感が持てる。
セクショナリズムに関してはまぁ日本に限った事じゃないのだろうが、
場当たり的だったり玉虫色な発言だったり、昔の日本もあんまり今と変わらないなぁというのが面白かったですね。
2)に関しては、具体的に日本が朝鮮に対してどう迫害してきたか、という分析はないのだが*1
国籍や戸籍、日本語教育などについてどういった見解を持っていた人がいたかというのは非常に良く分かった。
3)に関しても、やはり迫害云々についてはあまり触れられてないが、
戦前についてはどのように日本化が進んでいったのか、
戦後についてはいかに保守派がベトナム戦争後まで日本復帰に消極的だったか、
革新派がベトナム戦争あたりで方針転換して積極的になったのかが良く分かった。
あと、本当にアメリカはロクなことしねーなぁ、ってのも。
アメリカは外国の治安維持とか統治には向いてないわ。
問題は、すげー面白いんだが誰にも薦められないことだよな...
こんな事に興味持つ人間って周りにはいねーだろうし。
*1:当時の日本人論争を分析した本なので当然だが